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アブラムシ
アブラムシとアリの写真
 「アブラムシ」は、アブラムシ上科に属する昆虫の総称で、多くの品種がある。
 未知な生態もあるが、一般には植物を加害する害虫であるとされている。
 写真はアリと共存するアブラムシ。
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 アブラムシとは
 アブラムシには多くの種類があり、世界には3,000種以上、日本でも700種類以上いる。
 古くから知られている有名な害虫であるが、その生態は複雑で、未知の部分も多い。
 体の形や色も様々であるが、通常は西洋梨の様な体型で胴のくびれがないタイプのものが多い。
アブラムシをルーペで品種まで判別するのはプロでも難しい。
名 前  アブラムシ
別 名  アリマキ 〔蟻牧〕
分 類  アブラムシ上科 [Aphidoidea]
⇒  アブラムシの生態
 アブラムシの被害
 アブラムシは、植物の葉や茎などに付着するように取り付いて、汁を吸引する。
種類により好みの植物が決まっていものが多い。
一種類の植物にこだわるものが多いが、中にはあまりえり好みしないものもいる。
植物を弱らせる
植物を奇形にする
ウィルス病の媒介
植物を弱らせる
 アブラムシは植物に寄生すると、ひたすら汁を吸引し続けるので、群がって寄生されると、成長の勢いをなくして弱まってしまう。
 植物が元気をなくすと対抗力も衰えてくるので、病気になったり枯れやすくなる。
植物を奇形にする
 アブラムシが柔らかい葉に群がって吸引することにより、葉が縮小したり巻いたりする。
また吸引した所だけ白く変色したり、デコボコになることもある。
さらに悪化すると、しおれてしまう。
アブラムシ被害を受けた葉の写真
ウメの新葉が縮みあがる現象。
ウメの新葉が縮みあがることがあるが、これはアブラムシによるもの。
農薬がかかりにくく、天敵からも隠れられるので、アブラムシにとってはよい隠れ家となる。
葉にできる小さなコブ。
葉に小さなコブを作り、中にアブラムシが寄生する。
この方法も、農薬がかかりにくく、天敵からも隠れられるので、アブラムシにとってはよい隠れ家となる。
土や砂の盛り上がり。
イチゴの苗などによくあるが、土や砂で隠れることもある。
これは地際の茎や葉柄に寄生しているアブラムシを、アリが土で覆って隠したもの。
(アリはアブラムシから蜜をもらう代わりに、天敵から守ってあげるという共存関係にある。)
アブラムシの写真
ウィルス病の媒介
 アブラムシの最悪の被害は「ウィルス病を媒介する」こと。
 植物が感染するウィルスは世界で約600種類ほど確認されているが、そのうちの約半分は昆虫により媒介されている。
そしてウィルスを媒介する昆虫の半数以上がアブラムシ類によるものである。
 一度ウィルスに感染すると、対処不可能となる。
園芸書などでは「ウィルスに感染した植物は被害が広がらないうちに焼却せよ」と指南するものが多い。
対処のしようがないということと、被害が拡大していくのが、ウイルスが最大の被害である所以である。
ウィルス感染の原因
ウイルスの「試し吸引」により、ウィルスを伝播していく。
ウィルスに感染、またはウィルスを保菌している植物に口針を刺して「試し吸引」した後に、別の植物を吸引することにより、ウィルスが広がって行く。
ウィルス感染の原因となるアブラムシの生態
 アブラムシは植物の汁を吸って生きているが、アブラムシの種類により様々な好みの植物がある。
翅の生えているアブラムシは、好みの植物を探し求めて飛び回ったり、歩き回ったりしてさすらいの旅を続ける。
新しい場所にたどり着くと、とりあえず植物に口針を刺して汁を吸引して味見する。
そして自分の好みでないことが判明すると、すぐに立ち去り、また別の植物のところに行って「試し吸引」する。
好みの植物が見つかると、ようやく定住する。
アブラムシには翅あるものと翅のないものが存在する。
翅のないアブラムシの方が多いが、翅のある・なしは環境により成虫のメスが産み分けるとも考えられている。
 アブラムシの駆除
寄生された枝葉を焼却・廃棄する
ブラシなどを用いて取り除く
牛乳や粉ミルクなどを噴霧(フンム)して窒息させる
薬剤散布
天敵利用
色の好みを利用して駆除する
寄生された枝葉を焼却・廃棄する
アブラムシが寄生した雑草や雑木、剪定可能な枝などは、迷わず切り取り処分する。
不要な雑草や雑木はアブラムシの寄り付く原因ともなるので、常に取り除いておくと、アブラムシの予防になる。
ブラシなどを用いて取り除く
アブラムシはほとんど動かずにいるものなので、根気さえあれば(薬剤など使用せずに)簡単に取り除くことが出来る。
濡らしたタオルや、ティッシュなどで、丁寧に拭き取る。
少し頑固なものは、ブラシなどでこすり取る。
アブラムシを周囲に飛ばさないように気をつける。
植物を丁寧に扱い、傷つけないように気をつける。
牛乳や粉ミルクなどを噴霧(フンム)して窒息させる
牛乳をアブラムシに付着させると、窒息させることが出来る。
オレンジジュースなどでも効果があるという。
牛乳に展着剤を1割くらい加えると効果が高まる
牛乳を噴霧する方法は、ムラができやすく、生き残るアブラムシも存在するので完全除去は難しい。
しかし、展着剤を1割ほど加えると効果が高まるという。
表面張力を下げて、薬液が均一に広がることを目的として使用するもので、市販されている。
薬剤散布
大量に発生した時などは、薬剤散布もやむを得ない。
基本的にアブラムシは薬剤に対して弱いので、たいていの薬剤でも効果があり、アブラムシ用の薬剤も各種販売されている。
薬剤抵抗性に注意する
同じ薬剤を少しずつ長期間使用していると、その薬剤に対して抵抗力が出来てしまう。
使用する時は、一気にムラなく散布し削除するようにする。
長期間使用する時は、異なる薬剤に変えるようにする。
異なる薬剤とは、単に販売されているメーカーを変えるのではなく、使用している薬剤を変えるということ。
 → スミチオン乳剤とか、マラソン乳剤とか…。
厳密には、薬剤の中の化合物が異なるとよいとされる。
薬剤はアブラムシの天敵も被害を受ける
薬剤には効果のある昆虫が特定されているものもあるが、アブラムシ用の薬剤は一般的なものが多く、アブラムシの天敵にも効果を及ぼしてしまう。
その他の動植物も何らかの影響を受ける可能性もあるので、極力限定的に用いるようにする。
天敵利用
アブラムシの天敵は沢山いるので、天敵にアブラムシを食べてもらう。
有名な天敵は、多くのテントウムシ類。
その他にはアブラバチなどもいる。
テントウムシはアブラムシを主食とする有難い昆虫。
成虫は愛らしい外観から人間に愛されている。
テントウムシの仲間でも、アブラムシを食さないものもいる。
色の好みを利用して防除する
鮮やかな黄色を好む
アブラムシは、鮮やかな黄色を好み、飛来するアブラムシはこの色を目安に着地する傾向がある。
この習性を利用して、アブラムシの好みでない植物のそばに黄色い容器を置き、中に水と薬剤や家庭用洗剤などを少量入れてかき混ぜておくと、水の中に入って飛びたてなくなる。
黄色い花の植物を好むといわれる。
ピンポイントで着地するわけではないので、近くに食性のある植物があると逆効果となる。
他の昆虫や鳥などもやってくる可能性がある。
キラキラした銀色が苦手な色
キラキラした銀色を嫌い、空からは近づかない傾向がある。
農家などではこれを利用したテープやマルチを利用することもあるが、金額が高いことから、シルバーテープを垂らすなどの代用をすることが多い。
外観が損なわれるので、一般家庭の庭では実行しがたい。
家庭菜園などではよいかもしれない。
紫外線カット
色とは少し異なるが、紫外線をカットしたフイルムなどがある。紫外線をカットすると昆虫類は真っ暗闇にいる状態になるらしい。これを利用すると、アブラムシは好みの植物を判別できなくなる。
ミツバチやアブラムシの天敵など、他の昆虫も影響を受けてしまう。
 アブラムシの発生原因と予防
アブラムシが大量発生する原因
木が健康な状態ではなく、弱っている。
日当たりや風通しなどの環境が悪い。
化学肥料の使用が多く、土の窒素分が多くなった。
植物などが、庭の環境に適していない。
アブラムシの天敵が少ない。
アブラムシの予防
アブラムシの天敵を大切にする。
天敵を呼び込むような環境作りをする。
 → 薬剤を使わないなど。
アブラムシと共存関係にある「アリ」を駆除する。
アリは、アブラムシから蜜などの利益を得る代わりにアブラムシの天敵から守っている。
アリも環境作りに貢献しているので、全くの悪者ではない。
アブラムシが越冬などに利用する雑草を駆除する。
天敵保護の為には、ある程度雑草のある環境の方がよいという説もある。
日当たりや風通しなどの環境をよくする。
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